間脳下垂体疾患

ラトケ嚢胞

ラトケ嚢胞は、胎生期に下垂体が形づくられる過程で生じるラトケ嚢の遺残からできる、良性の嚢胞性病変です。

下垂体の中央付近にみられることが多く、下垂体部の嚢胞性病変として比較的よくみられます。多くは無症状で、頭部MRIで偶然見つかります。

【どのような症状が出るのか】
一部のラトケ嚢胞は、時間の経過とともに大きくなり、周囲の組織を圧迫することで症状を起こします。代表的な症状は、頭痛、視力低下や視野障害、下垂体ホルモン分泌の低下です。嚢胞が視神経や正常の下垂体を圧迫することで、見えにくさや、だるさ、月経異常、性機能低下など、ホルモン異常に関連する症状が現れることがあります。

【炎症を伴うことがあります】
ラトケ嚢胞では、まれに嚢胞内容の漏出や炎症が関与し、症状が急に出現したり、短期間で悪化したりすることがあります。強い頭痛や視機能の急な悪化を伴うことがあり、まれには化学性髄膜炎のような経過をとることも報告されています。

【診断について】
診断の中心はMRIです。MRIでは、嚢胞の大きさや位置、周囲の視神経や下垂体への影響を詳しく評価します。必要に応じて、CT検査で石灰化の有無を確認したり、採血で下垂体ホルモンを調べたり、視力・視野検査を行ったりして、ほかの下垂体部病変との鑑別も含めて総合的に判断します。

【治療について】
視力・視野障害、進行する下垂体機能低下、明らかな嚢胞の増大、日常生活に支障をきたす頭痛、急性増悪を伴う場合には、手術を検討します。特に視機能障害を伴う症例では、早めに圧迫を解除することが重要です。

【手術の方法】
標準的な治療は、鼻から行う経鼻内視鏡下手術です。多くの場合、嚢胞を開放して内容を排出し、周囲の組織への圧迫を解除することで、症状の改善を目指します。頭痛や視機能は改善が期待できる一方で、ホルモン機能の回復には限界があることもあり、術後も画像検査やホルモン評価による経過観察が大切です。 当院では、画像所見、視機能、内分泌機能を総合的に評価し、患者さんごとに最適な治療方針をご提案しています。